入って正面にはかわいい小物のディスプレイ、ネコ雑貨のコーナー。月2回店頭で市を開催?一体どんな酒店?…と思いきや、棚には東北各地の地酒がズラリ。オリジナル限定販売酒『清流広瀬川』や、ふつうお店では見かけない、どぶろくまで置いてある。お酒に付けられてる解説タグ、読んでるだけでそそられる~。創業300年。長く続くには理由がある。通はもとより、初めての方でも気軽に寄れて、ちょっとホッコリ温かい。荒町に来たら、晩酌の一本はここで買いたい!
創業、元禄15年(1702年)。
なんと三百十七年も続いているという「及川酒店」。
お店を訪ねる前に、SNS で口コミを検索してみたら、
『酒を買いに行くのではない。酒を通した心のふれあいを貰いに行くのだ。』
という、なんとも素敵で粋な言葉を発見しました。
老舗の重みに「心のふれあい」の魅力がプラスされて、興味深々。 早速、及川酒店を訪ねて、お話を伺いました!
店内には地元荒町の森民酒造さんのお酒やおすすめのお酒類が所狭しと並べられ、お酒についてはお任せあれ!という雰囲気がひしひしと感じられます。
朝の開店準備でお忙しいなか、快く迎えて下さったのは、十一代目の及川國雄さん(76)。 ほのぼのとした会話と、時折みせてくれるシャイな笑顔で、創業当初のお話や、荒町界隈の歴史等、及川酒店の歩みを話してくださいました。
荒町界隈は、伊達政宗公の仙台開府以来、御譜代町として麹の製造が特別に許可され、及川酒店も創業当初は麹屋を営んでいたそうです。
その後、時代の流れで麹屋だけでは苦しくなり、酒造にも挑戦。お酒好きな妖怪の名前にちなんで『猩々(しょうじょう)』と名付け、販売した事もあったそうですが、戦争のあおりでお酒は製造中止に。閉店する同業者も多くいたなか、味噌や醤油等の食料品を細々と販売して食いつないできました。
國雄さんのお父さん(九代目)が戦争に出兵後、叔父さんが十代目として店を継ぎ、國雄さんが幼少の頃には家族で荒町から塩釜へ移り住んでいたそうです。十代目の死後、國雄さんは覚悟を決めて再び荒町に戻り、この地でお店を後継し続けています。今では、娘さんと、十二代目となる息子さんとみんなで、お店を盛り上げているそうです。
お店の歴史を先代、先々代への感謝を込めながら丁寧に話してくださる國雄さんは、気さくなお人柄で、なにもかも受け入れて下さるような温かい雰囲気。思わず時間を忘れてお話に聞き入ってしまいました。
口コミの言葉にも納得の、「心のふれあい」をたっぷりいただきました。
「遠慮なく聞いてもらえたら、いくらでも、お話しますよ(笑)」と國雄さん。
最後に「おすすめのお酒とか、お客様に何かメッセージはありますか?」と 聞いてみたところ、「こちらから何がおすすめとかは、何も言いませんよ。だって、うちの店は、お客様の気持ち優先だもの。」とにっこり答えた表情が、地元にしっかりと根を張り、お客様とお店を育ててきたことをを物語っていました。
旨いお酒と人情を求めて通いたくなる酒屋、及川酒店。
遠方から来た方も立ち寄るとか。
お話をあれこれと伺っている内に、懐の深さに酔いしれて、なんだか…ぬるめのお燗を頂いた様な気分でじんわりと胸が熱くなりました。
今宵は及川酒店で一杯いかがですか?
--------- 店舗名 及川酒店 取材協力 11代目 及川國雄さん 住所 宮城県仙台市若林区荒町127 電話番号 022-223-2885 FAX番号 022-223-2983 営業時間 月曜~土曜 09:00~20:00 日曜、祝日 10:00~19:00 定休日 第2・4日曜日 ※1/1~3は店休
ツイッター https://twitter.com/koyuki507 Facebook https://www.facebook.com/oikawasyuzouten/ 取材日 2019年8月10日(9時~) 取材 大森玲子、中島千恵 記事 大森玲子、中島千恵 *************
※この記事は「荒町さんぽ」のフリーペーパー講座で受講生の皆さんが取材・執筆した荒町エリアのお店紹介記事です。
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