奥江呉服店は大正10年創業の老舗。振袖を中心に和装の販売やレンタルをしています。着物も今やネットで注文できる時代ですが、ネットでは “着る意味”までは教えてくれません 。 ここでは「なぜ着るのか」という日本文化としての和装の価値をお客様に伝えながら、 着物を着るサポートや機会の提供をしています。仙台で、「着物を通じて伝統文化を継承していく」という使命を持ち営業する奥江呉服店で、着物の魅力にぜひ触れてみてください。
通りに面したショーウィンドウから、艶やかな振袖を眺めることができる奥江呉服店。荒町商店街の西側に位置するこのお店は、大正10年の創業開始から今年で98年。振袖を中心に和服の販売やレンタル、着付け、メイク、写真のトータルサービスを行っている「街の呉服屋さん」です。
創業当時は木造平屋建てでしたが、現在は10階建てマンションの1階部分が店舗。100年の時の流れの中で店構えは大きく変化しましたが、荒町商店街をずっと見守ってきました 。
社長の佐藤隆俊さんと女将の東代さんによると、かつての荒町は生活用品を買い求める人で賑わう、市民にとって無くてはならない商店街だったそうです。しかし、時の流れとともに店舗数が減り、さらに、2015年の地下鉄東西線開業で市バスの運行本数が8割減ったことで、買い物客の減少に拍車がかかってしまいました。
時代の変化の中で、人々の装いの文化もまた、大きく変化しました。かつては、日常はもちろん冠婚葬祭など、さまざまなシーンで和服を着こなしていましたが、その後、ほとんどの人が洋服を着るようになり、今では和服は成人式など人生の特別な日のための装いとなりました。それでも昭和40~50年代頃は、女性が自分で働いたお金でブランド品など人より良い物を求める時代で、和服も競うように売れたそうです。
「物に豊かさを求めていた時代は人よりも良い物を欲しがったが、今は人並みで良いという価値観の人が増えて、良い物が売れなくなった。本当に良い物を作るということが難しくなってしまいましたね。」と隆俊さんは語ります。
服装が簡略化されることで、和服に込められた文化や礼節が忘れ去られてしまうことを、女将の東代さんも心配していました。
「東日本大震災の時に、人々がきちんと並んで順番を待っていた姿は、現代人にも根付く日本文化だと思います。日本の文化である礼節は、和装文化の中に多く込められているんです。着て行く先や着る人の立場によって着物や着方を変えたりする理由に、相手への敬意や礼節があるんですよ。」と東代さん。
和服の知識が忘れ去られつつある現在、お2人は和服コーディネイトのトータルアドバイザーとなることを意識して活動されています。今後は、日本文化に興味を持ってくださる外国人の方々向けにも何かできないか考えているそうです。例えば、和服文化を学べる場をつくったり、実際に着物や浴衣を着て街を歩いたり写真を撮ってもらうなど、日本の良き文化に触れて喜んでもらえたら、と語るご夫妻の目は輝いていました。
奥江呉服店は、私たちがいつの間にか忘れかけていた日本の良さを感じられる場所です。箪笥に和服が眠っている方も、最新の和服をレンタルしたい方も、奥江呉服店に気軽に相談してみてはいかがですか?日本で暮らす楽しさを再発見できるかもしれませんよ。
--------- 店名 : 奥江呉服店 URL : http://www.e-okue.com/ 住所 : 〒984-0073 宮城県仙台市若林区荒町75 TEL : 022-223-3374 営業時間 : 10:00 ~ 18:00 定休日 : 毎月、第一火曜と毎週水曜日
取材日 2019年8月12日(16時~) 取材 五十嵐千晶、名取茉央 記事 五十嵐千晶、名取茉央
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※この記事は「荒町さんぽ」のフリーペーパー講座で受講生の皆さんが取材・執筆した荒町エリアのお店紹介記事です。
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